bambi_RCJのブログ

ロボカップジュニア / エンジニア

4方向ビジョンシステムの進捗(M1nカメラモジュール使用)

はじめに

大変お久しぶりです。しばらく記事を書くのをサボっていました。

今回は、以前の記事で紹介したSipeed M1nカメラモジュールを使用したビジョンシステムが完成し、実用できるまで開発が進んだので一旦記事にまとめようと思います。このビジョンシステムはロボカップジュニアのサッカーオープンリーグに出場するロボットに搭載するために開発しました。

 

本編

ハードウェア

写真のように4つのカメラが円型に等間隔で配置されています。M1nにもともと付属しているカメラの素子はOV2640という型番のものですが、FFCケーブルが短く今回のような配置は難しかったです。代用としてOV7740というOV2640よりも性能がいい(らしい)ものをAliExpressで見つけたので購入しました。

↓商品リンク↓

https://ja.aliexpress.com/item/1005005332634417.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.16.7606585abnkEmv&gatewayAdapt=glo2jpn

レンズの視野は死角を減らすために一番大きい160°のものを購入しましたが、M1nに接続して確認したところ実際の視野は95°くらいで、4方向にするにはギリギリの視野になりました。それでも死角はほとんどできなかったので良しとします。(一度120°のものを買って失敗しています)

また、レンズが少し下(30°)を向いているのはコート外のものが映らないようにと、ロボット近くにボールがあった時に死角がでないようにするためです。

レンズの固定は、両面テープが付属していましたが、強い衝撃を受けるロボットに使用するには不向きだったので、3Dプリンタで作ったパーツでガッツリ固定しています。

 

カメラモジュールは高性能ですが、その分発熱も激しいです。指でギリギリ触れるくらい熱くなります(60℃くらい?)。モジュール中央に冷却ファンが搭載されていますが、直接M1nのボードに風が当たっていないのであまり効果がないかもしれないです。今後マイコンそれぞれにヒートシンクを搭載し、各モジュールに風を送る設計に修正しようと思います。

 

プログラム

プログラムは全てGitHubで公開しています。GitHubの使い方が分かっておらずぐちゃぐちゃになっています。

M1n

オレンジ色のゴルフボール、黄色ゴール、青色ゴールを色認識し、それぞれの角度(0°〜90°)と距離をUARTでF446REに送信しています。カメラから見た座標をコート上での座標に変換する方法はまだ研究中なので、三角関数で無理やり変換しているとだけ書いておきます。これに関しても今後記事を挙げるかもしれません。

そこまでプログラム上で難しい処理はしていませんが、ゲイン調整や彩度調整、閾値調整が難しいので自動化したいなと思っています。

フレームレートはパソコン接続状態で15fps前後、接続していない状態で30fpsくらい出ています。画像の取得範囲やメモリの使用量を調整することでfpsを上げることができました。

 

github.com

公式リファレンスを読むとありがたい情報が次々と見つかります。

wiki.sipeed.com

 

STM32 F446RE(カメラ統合マイコン)

4つのカメラモジュールからUARTで受け取った情報を統合し、ボールとゴールのそれぞれの角度と距離をメインマイコンにUARTで出力します。それぞれのカメラモジュールで処理しきれなかったエラーデータは他のカメモジュールからの情報を利用して修正します。

github.com

 

メリット・デメリット

上記のことを踏まえて、従来の双曲線ミラーを使用した全方位カメラと比べた時のメリットデメリットを簡潔にまとめます。

メリット
  • 遠くのボールでも認識しやすい
  • ミラーやアクリルパイプを介さないので画像が綺麗
デメリット
  • プログラムを書き込むのに時間がかかる → 工夫次第で解決可能
  • 重心が高くなる → バッテリーの配置などである程度解決可能
  • 計算が大変 → 数学を勉強するきっかけになる
  • スペースをとる → 設計次第ではカッコ良くなる

デメリットの方が数的には多いですが、個人的にはメリットの方が断然大きいと考えています。4方向カメラのビジョンシステムを導入して後悔は全くしていません。

 

今後の展望

現在はコート上の自己位置推定にゴールの角度と距離のみを使用していますが、より正確なデータを得るためにコートの緑色を認識して自己位置推定ができればと思っています。

また、現在は閾値の調整をするために4つのカメラモジュールにそれぞれプログラムを書き込まないといけ試合前の貴重な時間を節約するために、カメラ統合マイコンから閾値を調整できるようにしたいと考えています。

 

基板紹介

ビジョンシステムの基板はJLCPCBのPCBAサービスを利用して作成しました。半田付けが難しいチップ部品が実装された状態で届くのでハンダ割れの心配がなく、半田付けの時間も節約することができます。また、JLCPCBに欲しい部品がなくても代理で発注をしてくれるので非常に便利です。

カメラモジュールの基板

JLCPCBは中国にある基板製造メーカーです。私は以前、プリント基板制作は小さなものでも非常に高価になるという印象がありました。しかし、JLCPCBでは最安$2から基板を発注することができます。国内ではこんなに安く基板発注をできるサービスはおそらくないでしょう。

さらに、JLCPCBは基板作成だけでなく、部品実装(PCBA)、3Dプリント、CNC加工などのサービスも展開されています。これらも非常にお手軽な価格になっています。

新規ユーザーには$54クーポンも貰うことができます。

jlcpcb.com

↓発注方法の動画

JLCPCBへの発注方法 - YouTube

JLCPCBに発注した基板の紹介

はじめに

2024年度のロボカップジュニア・サッカーオープンリーグに参加するロボットに搭載される基板を紹介します。省スペース化、軽量化のために初めてチップマイコンやチップ抵抗を実装したり、 JLCPCBのPCBAサービスを活用して部品の実装をしてもらうなど、初めて挑戦したことが多い基板です。

今回の基板は下の写真のようなA4くらいのサイズの箱で家に届きました。基板はもちろんのこと、箱にも目立った傷はなく、非常に丁寧に梱包・運送されているんだと思います。

基板紹介

下ユニット

メイン基板

メインマイコンにはSTM32-F446REを採用しました。このマイコンは、180MHzと速いクロック速度を出すことができ、6つのUARTのチャンネルを持ち、周辺回路がコンデンサ・抵抗器だけで非常に少なく済むという理由で採用しました。Nucleoを使うよりもチップ実装した方がかなり設計が楽でした。他のマイコンとは全てUARTで通信しています。

IMU基板

ジャイロセンサはMPU6050を使用しています。MPU6050内蔵のDMP機能を使用することで、簡単にyaw軸のデータを取得することができます。メインマイコンにI2Cを接続するのはフリーズのリスクがあり不安だったので、ATmega328pでMPU6050の値を取得して、UARTでメインマイコンに送信しています。

2*3のピンソケットはArduinoブートローダーを書き込むために用意しましたが、ブートローダー書き込み済みのマイコンを半田付けするのであれば使わないので、正直いらなかったかもしれません。

モータードライバ基板

モータードライバICには秋月電子で売っているTB67H450FNGを採用しました。HSOP8パッケージとかなり小さいですが、最大電流3.5Aと、使用しているモーターのストール電流(3A以下)よりも大きいので定格は守っています。(定格は余裕を持った方がいいです)

電源のコネクタは前年度機体までVHコネクタを使用していましたが、2pinのVHコネクタはグラグラしていて不安だったので、XT30コネクタに変更しました。コネクタの信頼性は大切だなと感じました。

キッカー駆動基板

DCDC昇圧モジュールにはAmazonで買ったMT3608を使用しています。おそらくICが偽物なのですが、ちゃんと35Vまで昇圧してくれているので問題ありません!(問題大有り)

キッカーの駆動にはNchMOSFETを2つ使用しています。ひとつはコンデンサへの充電のON/OFF、もうひとつはソレノイド駆動のためです。ソレノイドを動かすときは、かなりのノイズが発生するので完全に他の回路と遮断できるようにしています。

↓これは設計ミスで動作しないので部品未実装です。

電源基板

主な機能は、5V・3.3Vの生成、電圧の監視、逆接保護です。DCDCコンバーターには村田製作所のOKL-T/3-W5N-Cを使用しています。

バッテリーのコネクタはタミヤコネクタを使用していましたが、接触不良でマイコンがリセットされることが多かったので、XT60コネクタを採用しました。繰り返しになりますが、コネクタの信頼性は本当に大切です。

また、今回は物理電源スイッチではなく、PchMOSFETのハイサイドスイッチを採用しました。物理スイッチの方が望ましいですが、大電流が流せるのと基板の小型化のためにMOSFETを選びました。

ラインセンサ基板

24個の円型と左右それぞれ3個のフォトセンサが搭載されています。どんな環境でも動かすことができるようにすべてのセンサをアナログで読んでいます。F446REのアナログピンの数では足りないのでマルチプレクサ(TC4052BP)で枝を生やしています。この数のフォトセンサとLED、チップマイコンを実装するためにはJLCPCBのPCBAサービスは必須です。

↓これも設計ミスで動作しないので部品未実装です。

上ユニット

LiDAR基板

TofセンサのVL53L0Xを16個搭載しています。ロボットや壁を認識して面白い動きができたらなと思って実装しました。このセンサも通信規格がI2CなのでLiDAR処理専用のATmega328pを乗せています。

普通は同じI2Cアドレスのセンサは複数接続できませんが、それぞれのセンサのXSHUTピンにデジタルピンを接続し、起動時に全てのセンサのI2Cアドレスを書き換えることで16個同時に値を取得することができます。

カメラ基板

Sipeed m1nを4方向に乗せていています。4つのカメラから得た情報をSTM32-F446REで計算してマインマイコンにUARTで送信しています。

LiDAR基板とUI基板の中継の役割もしています。

↓これも設計ミスで動作しないので部品未実装です。

UI基板

ディスプレイはいつも通りSSD1306を採用しました。スイッチは12mm角の大きいものを3つ乗せています。UIが複雑なのは嫌だったのでシンプルな構成にしました。

Root41さんのロボットを見ていて憧れていたNeoPixelを自作しました。円型のラインセンサ、ボールの角度、LiDARなどの情報を円型に表すことができるとかなり開発が捗りました。この基板はカメラの上にあるため、カメラ開発の妨げになることはありません。しかし、他のロボットからは認識されてしまうので、試合中は光らせることができません。

JLCPCBについて

JLCPCBは中国にある基板製造メーカーです。私は以前、プリント基板制作は小さなものでも非常に高価になるという印象がありました。しかし、JLCPCBでは最安$2から基板を発注することができます。国内ではこんなに安く基板発注をできるサービスはおそらくないでしょう。

さらに、JLCPCBは基板作成だけでなく、部品実装(PCBA)、3Dプリント、CNC加工などのサービスも展開されています。これらも非常にお手軽な価格になっています。

新規ユーザーには$54クーポンも貰うことができます。

↓公式サイト

PCB Prototype & PCB Fabrication Manufacturer - JLCPCB

↓発注方法の動画

JLCPCBへの発注方法 - YouTube

過去に作った機体の振り返り

はじめに

2019年度からロボカップジュニアに参加していて、今までたくさんの機体を作成してきましたので、ブログにまとめたいと思います。作る機体が増えるにつれて技術力が上がっていくのが写真を見て分かると思うので、ブログにまとめるのが楽しみです。

 

 

2019年度

(ノード大会)

ビギナーズに初めて出場した時のロボットです。キットで買ったe-Gadget-RBをタミヤのユニバーサルプレートで改造したものです。補足エリアがなくて制御に困っていた記憶があります。前面にボールセンサが2段重ねになっている理由は思い出せません...

 

(ブロック大会)

ノード大会での反省を活かして捕捉エリアと捕捉センサを搭載しました。ハンドルのアルミは家にあったものをドリルとヤスリで頑張っていた記憶があります。デザイン的に結構気に入っているロボットです。しかし、ハードは良かったのですが、プログラムが不調であまり勝てなかったです。

 

(BIWAKO OPEN)

2020年度にライトウェイトに出場するための練習に簡単に作った3輪ロボットです。赤外線距離センサ以外は全部ダイセン製です。付いているファンはカッコよかったので廃材から取って取り付けました。シャーシは百均のまな板を糸鋸で切っていたので、めっちゃ大変だった記憶があります。プログラムも調子が乗っていていい動きができていました。

 

2020年度

(ノード大会)

この頃からFusion360AutoCADを使って設計を始めました。また、ダイセン製からSTM32に乗り換えてボールセンサ、ラインセンサも素子を買って自作しました。唯一ダイセンモーターだけはコスト面の問題で卒業できていません。

自分の技術が二次関数的に向上した期間でしたが、自分の技術向上のために時間を割いていたので結果的に左の写真の1台しか完成しませんでした。右の写真の機体は適当にまな板を切ってダイセン製のものを載っけただけです。

 

(ブロック大会)

アタッカー(左)には前と左右にPSD方式の赤外線センサを搭載しました。左右のセンサで壁との距離を測って前のセンサで敵を認識して、敵よけっぽいことをしていました。

キーパー(右)にはドリブラーが新たに搭載され、敵に攻められたときはプッシングを取りやすく、チャンスがあればローターを反転させて相手のゴールまでボールをキックしていました。

全体的に順調に動いていましたが、LEGENDにはボロ負けにされてしまいました。

 

2021年度

(ノード大会)

アタッカー(左)は、なぜか昨年のブロック大会まで搭載されていた距離センサが取り外されて左右に赤色LEDが搭載されています、なぜでしょう。思い出せません。でもプログラムの技術は高くなってきていて、距離センサがなくても自己位置を推測してゴールにロボットが向くようにしていました。

キーパー(右)は相方がArduinoを使った新機体を製作中だったので昨年のものをそのまま出しました。

 

(ブロック大会)

アタッカー(左)には昨年度と同様に前と左右にPSD方式の赤外線センサを搭載しています。ドリブラーも追加されているのでうまく敵よけをしてドリブラーのローター反転シュートも活用し、得点を決めることができました。

キーパー(右)は相方が作っていましたが、大会までに完成が難しかったので1週間で作り上げました。STM32 F303K8を初めて使いましたが、PWMがうまく出力されないピンがいくつかあり、調整が難しかったです。また、ジャイロのライブラリの中にある角速度計測上限を引き上げるのを忘れており、強い衝撃があると傾いてしまっていました。まさに1週間クオリティでしたね。

LEGEND戦ではお互いジャイロが狂いまくる症状がありましたが、ギリギリ勝つことができ優勝することができました。憧れの先輩に勝つことができてめっちゃ喜んでいました。

 

(全国大会)

初めての全国大会だったのでモチベーションがめっちゃ高くて、どんどんロボットが進化していました。

アタッカー(左)のハード面の大きな変更は、赤外線距離センサから超音波センサに変更したくらいです。主にプログラムを頑張っていました。動画も載せておきます。

キッカー(左)は相方のArduinoを使ったロボットがようやく完成しました。

こんなに順調だったのに、まさかのコロナウイルスの流行で全国大会がオンライン開催となってしまいました...まあそれでもインタビューや動画で全国7位を取ることができたので良かったです。

 

(RCAP)

キーパーは変更点がありませんでしたが、アタッカーはガラッと変わりました。前機体のシャーシはA2017アルミニウムでしたが、全て3Dプリンタ製に変更しました。T3のアルミからの変更だったのでかなりの軽量化になりました。さらに、前方にカメラも追加されてゴールの方向を向いたままの姿勢制御が可能になり、中立点からのゴール確率が格段に上がりました。

 

2022年度

(ノード大会)

RCAPと同じ機体で出ていました。

 

(ブロック大会)

RCAPと同じ機体で出ていましたが、大会当日にジャイロセンサが壊れました。まさかの予備を持っておらずカメラだけで姿勢制御をすることになってしまったので、ひどい動きでした。でもなんとか決勝までは進出することができて全国大会へ出場することもできました。今後の大会で予備部品をたらふく持っていくための良い経験だったと思います。

 

(全国大会)

両端のロボットです。(真ん中はAEGISの機体)

トップマーカーが2色に光るくらいしか機能がないロボットです。

キーパー(左)は高さが低くなってコンパクトになっています。


(開発を諦めた機体)

ライトウェイトでダブルドリブラーをしようと意気込んで作っていましたが、問題が山積みで結局モチベーションが続かずに開発を諦めた機体です。動きはしませんが、デザインは結構気に入っています。

 

2023年度

(ノード大会)

アタッカー(左)はカメラ(pixy2.1)を搭載しており、初めての3台のマイコンでの制御をしたロボットです。ジャイロセンサ用、カメラ用にArduino Nano、メイン処理用にNucleo F446REを搭載しています。プログラミングもだいぶできるようになっておりかなり良い動きをしていました。

キーパー(右)は旧AEGISの機体を流用していました。


(ブロック大会)

アタッカー(右)は特に変更点はありませんでした。プログラムの微調整をしたくらいです。

キーパー(左)はモーターを秋月電子に売っているIG22のものに変更しバッテリーも8.4vのニッケル水素バッテリーに変更しました。

試合の結果としては3位に終わってしまい、とても悔しい思いをしていたので全国大会に向けてのモチベーションが過去最高に上がりました。

 

(全国大会)

アタッカーとキーパーのハードウェアはほとんど統一して部品交換が行えるようにしました。ブロック大会が終わってすぐに中国の基盤メーカーであるJLCPCBさんにスポンサーになってもらうことができ、ユニバーサル基板からプリント基板に移行しました。機体の設計の自由度があがり、4輪・ドリブラー・カメラを使った戦略でボールの軌道が曲がるマカオシュートも打つことができ、大きな得点源になりました。

このロボットの特徴は3Dプリンタを活用した立体的で合理的な設計です。かなり肉抜きをしていましたが、制作から試合終了まで一度も部品が壊れることはありませんでした。

試合結果としては全体6位・優秀デザイン賞・日本ロボット学会賞で世界大会には行けませんでしたが、かなり満足のいく結果でした。

 

(スポンサー紹介)

JLCPCB様にスポンサーになっていただいています。一昔前までは非常に高価だったプリント基板の製造サービスが最安$2から発注することができます。新規ユーザーには$54クーポンも貰うことができます。

↓公式サイト

PCB Prototype & PCB Fabrication Manufacturer - JLCPCB

↓発注方法の動画

JLCPCBへの発注方法 - YouTube

JLCPCBへの発注方法(PCB)

 

はじめに

今回の記事では、JLCPCBを利用してプリント基板(PCB)を発注する方法について紹介します。

プリント基板のメリット

私は半年前までユニバーサル基板を使用していました。しかし、後輩からPCBを勧められたことがきっかけで、抵抗感を抱きつつもPCBに挑戦することにしました。現在ではユニバーサル基板に戻ることは考えられません。PCBの最大のメリットとして、小さな基板に複雑な配線が可能ということです。他にも基板の形状を自由に設計できるなど、多くのメリットがあります。

Youtubeにプリント基板へ移行した経緯をまとめた動画もアップロードしています。

プリント基板への移行 (JLCPCB) ロボカップジュニア - YouTube

初めて作成した基板

 

JLCPCBとは

中国の基板製造メーカーであり、私が知る限りでは手頃な価格で高品質な基板を提供してくれる唯一の会社です。さらに、この会社はPCBだけでなく、電子部品の単品販売や部品実装サービス、3Dプリントサービス、CNCサービスも展開しており、ロボットの開発に置いては欠かせない存在となっています。

新規ユーザーは$54クーポンを受け取ることができます。

jlcpcb.com

 

発注方法

1.ガーバーファイルのアップロード

基板エディタで作成したJLCPCB用のガーバーファイルをアップロードします。

PCB Prototype & PCB Fabrication Manufacturer - JLCPCB

 

2.各種項目の入力

頻繁に使う項目のみ紹介します。

(Layers)

何層の基板をアップロードしたかを選択します。ほとんどの基板は2layersで済みます。

(Dimensions)

基板の外接長方形の大きさです。ガーバーファイルをアップロードすると自動的に設定されますが、もしエラーが出たら再度ガーバーファイルをアップロードしたら直ります。

(PCB Qty)

何枚基板を発注するか選択します。最小発注数は5枚です。

(PCB Thickness)

基板の厚さです。薄くしすぎたら基板が曲がって、ハンダが剥がれることもあるので1mm以上がおすすめです。

(PCB Color)

基板の色です。黒色はマットブラックとなっています。緑色の基板は最も製造時間が速いですが、全色値段が同じなのはありがたいです。

(Remove Order Number)

基板の製造時に製造番号がシルクで印刷されるので、消すか、場所を指定することができます。場所を指定する場合は、「JLCJLCJLC」とシルクを事前に入れておけばいいそうです。

 

3.配達業者の選択

下記の写真に載っている業者を選ぶことができます。

基板の総重量により各業者の値段も変わります。

私は急ぎで基板が必要なときはDHL Express Worldwide、急いでいないときはコストを抑えるためにOCS ExpressもしくはOCS NEPにしています。

OCS NEPは一番格安ですが、0.6kg・≤10*10cmの制限なので少量の小さい基板を発注するときにのみ選択できます。

配達業者一覧

 

4.支払い

カートに追加し、Secure Checkuutを押すと、住所の入力や発送業者の確認、支払い方法の選択などがあるので必要事項を入力してPayを押すと発注完了です。

支払いは「JPAY」「Paypal」「Credit Card/Debit Card 」から選ぶことができます。PayPalの場合は$0.5の手数料がかかります。

 

まとめ

基板発注と聞くとかなり難しい印象がありますが、このようにとても簡単にできでしまいます。プリント基板にすると電子工作の幅が一気に広がるのでぜひアカウント作成と共に貰える$54クーポンを使用して発注してみてください。

 

 

今回はここまでで終わりにします。次回以降にPCBA(部品実装サービス)などのことについても書けたらと思います。

Sipeed Maix Bitを使ってみた感想

 

はじめに

Maix Bitを使う前はPixy2.1を使用していましたが、機能が物足りなくなり、自分でプログラムを書くことができるAIカメラに興味があり使用し始めました。このシリーズについてとても詳しいわけではないので、便利な機能を使いこなせていなかったり、間違った情報もあるかもしれません。そこら辺はご了承ください。

 

これは一体何なのか?

今話題のRISC-VマイコンのK210プロセッサーを搭載したAIを超簡単に使えるマイコンボードです。マイコンボードだけでなくカメラ、LCDも付属しています。私はロボカップの競技でカメラを使った色認識をするために使用しています。他のMaixシリーズもありますが、Maix Bitはブレッドボードに直刺しできるので便利です。

性能などは以下の公式サイトを見てもらったらわかると思いますが、かなり高性能です。

wiki.sipeed.com

 

Sipeed Maix Bit

 

入手方法

多くのオンラインショップで売っていますが、送料とか合わせるとどこも大差はないですね。秋月はちょっと高いかなって感じです。私は信頼性のあるスイッチサイエンスで購入しました。

Seeed Stuido:

Sipeed MAIX Bitセット LCD、カメラ付き - Seeed Studio

スイッチサイエンス:

Sipeed Maix Bit — スイッチサイエンス

マルツオンライン:

Sipeed Maix Bit SIPEED-MAIX-BIT Sipeed製|電子部品・半導体通販のマルツ

秋月電子

Sipeed MAix Bit Suit (液晶・カメラ付): マイコン関連 秋月電子通商-電子部品・ネット通販

 

開発環境

カメラを使うのであれば公式が出しているMaixPy IDEがおすすめです。言語はMicroPythonで、OpenMV IDEベースで作られているので比較的情報量も多く使いやすいです。使い方などは後日別の記事を出そうかと考えています。

MaixPy IDEのサンプルプログラム動作中の写真

 

使用してみて思ったこと

私はロボカップで色認識をしたのでその感想を書きます。

基本的に満足していますが、いくつか気に入らない点もありました。

 

(良かった点)

・公式のサンプルプログラムが充実している。

オーバークロックがプログラムで簡単にできる。(400Mhz→600MHz)

・他の同等製品と比べると値段が安い。

・カメラ(OV2640)とLCDが付属している。

(悪かった点)

・付属のカメラを使用した時のフレームレートが遅い(20fpsとか)

↑付属のOV2640から0V7740に変えたら30fpsくらいでた。画素を取得する範囲を狭くしたらもっとfpsが上がった。

Arduinoとかに比べたら情報が少ない(ピン配置が公開されていないシリーズもある)

 

M1nの使用予定

ロボカップジュニアの2024シーズンはオープンリーグに出場するので、直径が180mm以下の制限となります。その中で4つのカメラを四方に載せる予定なのでかなり小さいサイズのカメラが必要となってきます。そこで、Sipeedの公式サイトを散歩しているとこんな商品を見つけました。

wiki.sipeed.com

はい、すごい。

なんと基板のサイズが20mm*25mmです。ほぼ500円玉と変わらないサイズです。

M1n

でも、色々調べていると

情報が少なすぎる」

こいつのピン配置を調べても、公式のデータシートに載っていませんでした。幸い個人の方が独自で調べてブログにまとめてくださっているので使えそうです。

また、現在M1nはAliExpressのSipeedストアのみの取り扱いのみかもしれないです。(昔は秋月で1450円で売っていたとか...)

 

参考文献

Sipeed Maixシリーズの選び方

MAIX

Sipeed M1nのブレークアウトボードのピン配置について - Qiita

Sipeed M1n (Maix Nano)とAquesTalkを組み合わせて、Tiny YOLOの物体検出結果を声でしゃべるカメラを作ってみた - Qiita

JLCPCBに基板発注した話

5ヶ月くらい前に発注したロボカップ用の基板の解説をしていこうと思います。

基板はJLCPCBという会社に発注しました。なんと100mm*100mm以内なら5枚を$2で発注することができます。さらに新規登録者には$56クーポンも貰えます。正直お得すぎます。
JLCPCB公式サイト↓

jlcpcb.com

 

【基板紹介】
初めての基板設計だったのでとりあえず、
・自動配線には頼らない
・電源周り(特にGND)は太めに配線する
・通信線周りに電流がたくさん流れる配線をしない
・通信線はGNDで保護する
・配線は可能な限り短めにする
ということを意識して基板設計をしていました。

では、それぞれの基板についてざっくり書いていきます。

(メイン基板)
2列のピンソケットにメインマイコンであるNucleoF446REが刺さります。その他は赤外線センサ用、MPU6050用、ディスプレイ用にAtmega328pがそれぞれ乗っています。合計4つのマイコンがこの基板に乗っていることになります。また、裏にはフルカラーLEDのWS2812Bが2個乗っているのでロボットを中から光らせることがきます。個人的に程よい密度感で気に入っている基板です。

 

(ラインセンサ基板)
33個のフォトトランジスタ(NJL7302L-F3)を3つずつ並列に接続して合計11個のアナログ値をマイコンで読んでいます。このセンサには1つ大きな欠陥があって、LED33個を1つの抵抗で光らせています。LEDにも個体差はあるのであまり良くないみたいです。

 

(電源基板)
8.4vのバッテリーの電圧をMDに供給するのと、マイコンに5Vまで降圧させたものを供給させています。降圧用のDCDCコンバータには村田製作所の「OKL-T/6-W12N-C」を使用しました。これを採用した理由は、6Aまで流せるのと変換効率が約95%と高かったからです。
ロボットに乗っている写真で見にくいものしかなくて申し訳ないです。

 

(その他基板)
先ほど紹介したラインセンサ基板の奥にある3つです。それぞれ、モータードライバ、書き込みコネクタの取り付け、ラインセンサとマイコンの中継の役割を担っています。これらに関しては、そんなに解説することもありません。

 

次回以降の記事ではJLCPCBへの発注方法やPCBAサービス、3Dプリントサービスのことも書けたらと思っています。最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブログ始めました

ロボカップジュニアのオープンリーグに出場するチームCrescent(Re)のbambiです。

簡単に私の出場している競技の説明をすると1チーム2台の自立型ロボットでサッカーをします。それぞれのチームが独特な機能を乗せていて、多様なロボットがいるので参加していてとても楽しいし刺激になります。

 

昨年度はライトウェイトリーグに参加して全国BEST8に入ることができました。私のYoutubeに一部の試合や進捗と動画が上がっているのでもし良かったら見てください。

www.youtube.com

 

昨年度の全国大会機体

 

このブログでは自分たちの技術や進捗を公開していけたらと思っています。
投稿頻度は高くないと思いますが、よろしくお願いします。